雲のむこう、約束の場所(新海誠アニメ映画)のあらすじ解説や感想・評価(ネタバレ注意) ~その後の考察や小説版についても

雲のむこう、約束の場所(新海誠アニメ)の感想や解説をまとめている男性-11

どーもー、先日「秒速5センチメートル」を観て号泣してしまった「ゆとり」でーす。

秒速5センチメートル(新海誠の鬱アニメ映画)のあらすじ解説や感想(ネタバレ注意) ~結末やその後、漫画・小説との違いも

今回は、「秒速」と同じ新海誠監督の初長編アニメーション映画:「雲のむこう、約束の場所」について紹介していきます。

【作品情報】

監督・原作・脚本・製作総指揮 : 新海誠
音楽:天門

公開日:2004/11/20
上映時間:91分

この作品は、「ほしのこえ」に続く、新海誠の2作目のアニメ映画で、

戦後、北海道が分断・統治された架空の世界を舞台に、眠り続ける謎の病にかかってしまう佐由理(さゆり)と、彼女を救おうと奮闘する2人の少年(浩紀と拓也)を描いた物語となっています。

「雲のむこう、約束の場所」は、公開後に、「東京国際アニメフェア2003 表現技術賞」や「カナダファンタジア映画祭 アニメーション映画部門銀賞」を受賞し、

2005年12月には、小説版も出版されている。

というわけで、今回の記事では、「雲のむこう、約束の場所」のあらすじ解説や感想について。

また、小説版のあらすじやアニメ版との違いについてもまとめてみました。

以下、目次。

  1. 新海誠アニメ映画:「雲のむこう、約束の場所」のあらすじまとめ
  2. 本作品の解説や感想 ~弘樹と佐由理のその後など
  3. 「雲のむこう、約束の場所」の小説版について ~アニメとの違い
  4. 最後に・・・本作以外の新海誠作品について

新海誠アニメ映画:「雲のむこう、約束の場所」のあらすじまとめ(ネタバレ注意)

ではまず、アニメ版のあらすじ詳細をまとめていきます。

舞台は、北海道と本州が分断され、北海道が「世界の半分を覆う共産国家群:ユニオン」によって占領された、空想の世界になります。

北海道はユニオンに占領されたことによって、「蝦夷(えぞ)」と名前を変え、蝦夷の中央には、「ユニオンの塔」と呼ばれる、人智を超えた謎の塔が、天高くそびえ立っている。

一方、青森県の津軽半島に住む中学3年生の藤沢浩紀(ふじさわ ひろき)と白川拓也(しらかわ たくや)は、異国(蝦夷)の大地にそびえる塔にあこがれており、「ヴェラシーラ」と名付けた飛行機を自分達で作り、国境を越え「ユニオンの塔」まで飛んで行く計画を立てていた。

また、2人は同級生の沢渡佐由理(さわたり さゆり)に恋心を抱いており、彼女に制作途中の「ヴェラシーラ」を見せ、「ヴェラシーラが完成したら佐由理を塔まで連れていく」と約束を交わす。

だがある時、佐由理は塔の夢を見る。そして何の連絡も無いまま2人の前から姿を消してしまう。

佐由理を失った浩紀たちはヴェラシーラの製作を止め、喪失感を埋め合わせるように浩紀は東京の高校へ進学し、拓也は地元の高校へ進学して、それぞれ別の道を歩みはじめる。

そして、3年後の1999年、

ユニオンとアメリカの緊張が高まり戦争が現実になりそうな気配の中、「塔」の秘密が明らかとなっていく。

(蝦夷を占領しているユニオンに対して、アメリカ国はよく思っていなかった。)

その一方で、佐由理の行方も明らかになり、彼女は中学3年の夏から3年間もの間、原因不明のまま眠りつづけており、東京の病院へ入院していた。

やがて「塔」と佐由理との間に衝撃的な関係があることを知った浩紀と拓也は、青森の地で再開し、彼女を連れて「ヴェラシーラ」を塔まで飛ばす決意をする。

そして、ユニオン軍とアメリカ軍との宣戦布告がされた後、その戦闘に紛れて、ヴェラシーラは津軽海峡を越えて「塔」へと飛んでいく。

あの日、3人が約束した場所へ・・・

以上です。

※「ユニオンの塔」の秘密や、佐由理が突然いなくなり、3年間もの間眠り続けている謎、そして塔と佐由理の関係など、さらに詳細なあらすじについては、以下のWikiにてまとめられています。

ウィキペディア:雲のむこう、約束の場所(あらすじの章)

「雲のむこう、約束の場所」の解説や感想・評価 ~弘樹と佐由理のその後の考察や、主題歌、聖地情報について

続いて、「雲のむこう、約束の場所」を観て、個人的に気になった部分の考察・解説や、感想について、以下にまとめていきます。

  • 「さゆりが冒頭の授業中に朗読していた本」

    宮沢賢治の詩集:「春と修羅」に含まれる「永訣の朝(えいけつのあさ)」です。

    「永訣の朝」は宮沢賢治が死にゆく妹の様子を詩にした、感情を見事に文章にした名作のようです。

    (永訣は、永遠の別れ。という意味)

  • 「雲のむこう、約束の場所」のラストについて

    「神様、どうかお願い。目覚めてから一瞬だけでもいいの。今の気持ちを消さないでください。

    ヒロキくんに私は伝えなきゃ。私たちの夢での心の繋がりが、どんなに特別なものだったか。

    誰もいない世界で、私がどんなにヒロキくんを求めていて、ヒロキくんがどんなに私を求めていたか。

    お願い。私がこれまでどれだけヒロキくんのことを好きだったか。

    それだけを伝えることができれば、私は他には何もいりません。どうか一瞬だけでも。この気持ちを」



    「藤沢くん、、、私、何かあなたに言わなくちゃ。。とても大切な・・消えちゃった」(涙があふれてくる)

    ひろき:「大丈夫だよ。目が覚めたんだから。これから全部、また。。おかえり、サユリ」

    上記は、さゆりが夢から覚める時のシーンですが、結局、大切な思い(ひろきの事を好きだった気持ち)は忘れてしまいます。

    (泣いているのは、大切な何かを忘れてしまった事に気づいたから。)

    この後、

    浩紀は、ウィルタ(テロ組織)に託された「PL外殻爆弾」を投下し、ユニオンの塔を破壊して宇宙の消失を食い止め、

    EDの主題歌も、本編ラスト(結末)の余韻にしっかりと浸らせてくれる感じですごく良く、とても綺麗な終わり方だなと感じました。

    (主題歌情報については、後述しています)

    ただ、実はこの作品、一見ハッピーエンドに思えましたが、そうでも無いということが、色々ネット上を調べてみて分かりました。

    それが・・・

  • 「雲のむこう、約束の場所」のその後について

    実は、この作品のラストの十数年後が、冒頭のシーンに繋がっているんです。

    そのシーンは、大人になった浩紀が故郷の津軽半島に帰ってきて、3人の思い出である廃駅を訪れるが、北の空に塔は無く、そして浩紀の隣には誰もいなかった。

    (どことなく悲しげな表情も浮かべている)

    上記から、「さゆりはあの後死んでしまったのか・・?」という声がネット上で相次いでいて、もしそうなら、非常にバッドエンドな結末だが、その答えについては、小説版の「雲のむこう、約束の場所」にて描かれている。(後述しています)

  • 「岡部の工場に住みついている猫」

    名前は、「チョビ」

    実は、この「チョビ」という名前、新海作品の「秒速5センチメートル」や「彼女と彼女の猫」に登場する猫の名前にも使われています。

    (定番のようですね)

    (もちろん、同一の猫では無いが、)

    ※ちなみに「彼女と彼女の猫」というのは、新海誠の一番最初のアニメーション作品になります。

    → 「彼女と彼女の猫」の短編動画(新海誠作品)とアニメ版(EF)のあらすじ・感想 ~小説と漫画版も(ネタバレ注意)

  • 「エクスン・ツキノエ」

    本編にて実際に登場した人物ではありませんが、個人的に非常に気になった人物です。

    ユニオンの塔の設計者であり、さゆりの祖父である物理学者。

    (あらかじめ、さゆりの夢に塔が反応するよう設計されていた?)

  • 「本編で語られる、並行宇宙と夢の関係について」

    SFらしい面白い設定だなーっと思ったのですが、

    研究所で働いているタクヤの先輩であるマキ。彼女は並行宇宙の研究を、睡眠や記憶・夢といった方向からアプローチしており、並行宇宙のことを以下のように説明しています(以下)

    ・人が夜、夢をみるようにこの宇宙も夢をみている。

    ・「~であったかもしれない」という様々な可能性を、この世界は夢の中に隠している。そして、そのことを並行世界・分岐宇宙と呼んでいる

    ・並行世界は、人の脳や夢にも影響を及ぼしており、生物の脳は、無意識のうちに並行世界を感知している

    ・分岐宇宙が、人の予感や予知といったものの源泉になる可能性がある

    そして、

    「ユニオンの塔」は、並行宇宙の情報を受信するためのアンテナ施設であり、現状の世界を、並行宇宙に書き換えるのが目的であった。

    一方、

    さゆりが眠りにつく事で、塔の捉える平行宇宙の情報が何らかの理由でサユリの脳(夢)に流れ込むことで、塔の活動の制限となっていた。

    (エクスン・ツキノエは、現状の世界が並行宇宙に飲み込まれないように、予防線を張っていた?)

    (ちなみにヒロキも、「夢の世界で孤独に生きるさゆり」の夢を見るが、ひろきも何か特別な存在だったのだろうか?)

    謎は残ります。

  • 「岡部という人物」

    「雲のむこう、約束の場所」では、裏がある重要人物として描かれていますね。

    浩紀と拓也がアルバイトをする蝦夷製作所の社長という表の顔を持ちながら、

    「ウィルタ解放戦線」という蝦夷で活動するテロ組織のリーダーでもある存在です。

    蝦夷製作所の社員も、ウィルタのメンバーであり、後に、浩紀や拓也も活動に参加する。

    ウィルタは、南北統一を信念に活動しており、裏では米軍とも繋がりがあり、「ユニオンの塔」を破壊するための「PL外殻爆弾」を米軍から入手する。

    この他にもユニオンの役人買収、蝦夷への密航などと活動は様々である。

    ちなみに、岡部は過去に南北分断のせいで家族と引き離されており、それがキッカケで南北統一を望んでいる。

  • 「雲のむこう、約束の場所」のED主題歌

    タイトル:「きみのこえ」
    作詞:新海誠
    作曲・編曲:天門
    歌:川嶋あい

    注目すべきは、この曲の歌詞を新海監督みずからが書き下ろしている点ですね。

    ヒロキが、サユリやあの日の約束を忘れられないで抱え続けている想いや悩みが歌われています。

    以下、歌詞全文。

    きみのこえ:歌詞全文

  • 「雲のむこう、約束の場所」の舞台となった聖地

    本編で舞台となっている場所は、実際にもある場所がモデルとなっています。

    例えば、浩紀や拓也・佐由理が通学で利用している駅は、青森の津軽線:「蟹田駅」がモデルとなっていて、

    3人で蝦夷製作所へ向かうシーンで登場する海岸や踏切りも、蟹田駅の近くにあるソレがモデルとなっています。

    本編に登場する聖地については、以下の記事にてまとめられているので、確認してみてください。

    青森県青森市~東津軽郡:「雲のむこう、約束の場所 聖地巡礼」

    (青森に住んでいる人や、旅行に行く予定の人などは聖地巡礼していると良いでしょう。)

以上、「雲のむこう、約束の場所」の感想や解説でした。

「雲のむこう、約束の場所」の小説版について ~あらすじ解説や結末、アニメ映画との違い(ネタバレ注意)

雲のむこう、約束の場所の小説版-1

Amazon:雲のむこう、約束の場所(小説)

こちらは、新海誠が監修をしながらも、執筆したのは「加納 新太」という作家で、アニメ映画では語られなかったエピソードが多数補完されています。

※加納新太は、当作だけでなく、「秒速」や「君の名は。」の小説も出版しているので、新海監督とは縁(ゆかり)が深い方になります。

というわけで、ここでは映画版との違いについてまとめてみました(以下)

  1. 「北海道と本州が分断される経緯」

    アニメ映画版では、戦後、どのような形で南北分断に至ったのかは語られていません。

    ですが、小説版ではその辺も語られていて、戦後にドイツと同様の分割統治により、ソ連政府の占領下に置かれた北海道だったが、1956年にユーラシア大陸の全共産国家を統合する「ユニオン」に統合され、1975年に南との国交が断絶された。

    ちなみに、「雲のむこう、約束の場所」の本州は、米国が占領している設定である。

  2. 中学時代に、浩紀や拓也・佐由理が出会い仲良くなっていく過程が、小説版では詳細に描かれている。
  3. 突然、サユリが消えてしまったあとの2人の関係性や変化が、小説版では詳細に描かれている。
  4. 水野 理佳(みずの りか)の存在

    ヒロキが上京し高校で知り合った女性ですが、映画版では踏み切りで浩紀と共に一度登場しただけですが、小説版では浩紀の行動に大きく影響し関ってくる女性になります。

    ヒロキはサユリの事を忘れられずにいて、この女性も彼氏がおり、ヒロキを恋愛対象外だと公言するものの、なにか特別な感情を抱いています。

    こうしてお互い寄り添ってはいるけれど、それは「逃避」だということも気づいていて、彼女の存在が物語にさらなる深みを与えています。

    また、水野理佳に関係する以外でも、ひろきが上京した後については、追加シーンがかなり多く描かれています。

  5. 映画版のその後について

    映画版では、サユリは長い長い夢から覚めて、ユニオンの塔の破壊も成功し、ハッピーエンドで終了しましたが、その後の描写についても、小説版では描かれています。

    あの後、3年間は2人(ヒロキとサユリ)で幸せに生活していたが、その後、サユリは自立するためにヒロキの元から去ってしまいます。

    (ヒロキが居るといつまでも頼ってしまう、一人で生きていかなければならないという決意をサユリが抱いたから)

    その後、2人はお互いの消息を知らないまま数年が過ぎ、大人になったヒロキが思い出の地である地元に帰ってきます。

    それが、映画版の冒頭シーンなわけですね。

    (なので、サユリが死んだわけではありません。離れ離れにはなっていますが)

以上、「雲のむこう、約束の場所」の小説版と、アニメ映画版との違いでした。

最後に・・・「雲のむこう、約束の場所」以外の新海誠作品の感想・評価について

「ほしのこえ」や「秒速」・「言の葉の庭」と比べると、人気も知名度も少ない本作ですが、個人的には、歴代の新海誠作品の中でも、非常に好きな作品ですね。

新海作品は、終わり方が儚いモノだったり、納得できずにあとに引きずる作品が多いのですが、珍しく綺麗に終わった作品だったし、

短編作品が多いなか、「雲のむこう、約束の場所」は長編アニメーションで、ちゃんと物語が不足なく描かれていて、謎や伏線もほとんどがちゃんと回収されていました。

「秒速」や「君の名は。」のように、感情を大きく揺さぶられるような要素は少なかったけど、それでも個人的には評価したい新海作品ですね。

ということで、「雲のむこう、約束の場所」以外の作品の感想や評価については、以下の記事にてまとめているので良かったら見てみてください。

→ 新海誠監督のおすすめ作品ランキング一覧(アニメ映画・著書小説・CM)~「君の名は。」や「秒速5cm」、「言の葉の庭」等々

ではまた、じゃーねー。

雲のむこう、約束の場所(新海誠アニメ)の感想や解説をまとめ終えた男性-1

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