acid black cherry のニューアルバム「L(エル)」を聴いて、yasuワールドに魅了された話

「ねえ、エル(L)」
「今、君はどんな世界を、どんな空を見てるんだい?」
「これから君はどんな未来を、どんな明日を知るの?」

先日、acid black cherry(略して、ABC)のニューアルバム「L(エル)」を購入しました。

「ABC」というアーティストは、yasu の作詞するエロティックな歌詞や、悲劇的な少女を表現した曲といった印象が、世間一般的には強いと思います。

ですが、「ABC」がリリースするアルバムには、毎回明確なコンセプトが設定されていて、全10数曲がストーリー仕立てに構成されている事でも有名です。

僕自身も、「Q.E.D」という2thアルバムで体現されているストーリーや世界観に、yasu の表現力の奥深さを感じ、以降、ライブにも参加するなど、本格的にハマっているアーティストの一つです。

※「Q.E.D」とは・・・1940年代のロサンゼルスで起こった未解決猟奇殺人事件「ブラック・ダリア事件」を題材にしていて、

被害者側の視点や加害者側の視点・加害者に罰を与える第三者の視点で各曲が構成されている、コンセプトアルバムです。

(今度、「Q.E.D」についても記事にしたいな。)

で、、、

今回購入した、4thアルバムの「L(エル)」も、当然コンセプトアルバムになっていて、

幼少期の劣悪な家庭環境、悲劇的な恋愛の数々、夜の世界に入り変貌する女性「エル」の波乱万丈な人生を綴った、壮大なストーリーが、今回のコンセプトになります。

【「L」 の紹介動画 】

ABCの織り成す「L(エル)」の世界観に深いレベルで浸りたければ、必ず「コンセプトストーリーブック」を熟読しておく

今回のアルバムには、「コンセプトストーリーブック」というモノが同梱されています(DVD付盤のみ)

この本には、「エル」の波乱万丈な人生を綴ったストーリーが、かなり緻密に、100ページにも及ぶ量で描かれています。

僕自身、この本を読むのに、2時間くらい掛かりました。

でも、「L(エル)」を聴く前には、必ずこのストーリーブックを読んでおいてください。

そして、「エル」の人生ストーリーが明確にイメージできるような状態になった上で、「再生」ボタンを押すのです。

そーする事で、アルバム内の各曲のメロディや歌詞と、自分の頭の中でイメージしている「エルの人生ストーリー」が紐づいて、ストーリーブックを読む前には、想像もできなかった世界観や感動に浸る事ができます。

僕の場合は、まずストーリーブックを読む前に、歌詞カードを見ながら、一通りアルバムの曲を聴き、

その上で、ストーリーブックを読んでから、再度アルバムの曲を聴くといった事をしました。

そうすることで、「違い」を明白に感じる事ができます。

ストーリーブックを読まなくても、yasu が体現している世界観であることは感じとる事ができますし、自分自身であったり、自分の知っている人に置き換えて、共感することはできます。

ただ、そのイメージには、限界があり、どこか抽象的なモノになってしまいます。

そんな抽象的なイメージや世界観を、明確に頭の中に描いてくれるのが、この「ストーリーブック」になります。

なので、これから「L(エル)」を聴こうと思ってる方は、ぜひ、この本を見てから聴くことをオススメします。

ザッと、ストーリーを解説しておくと、、、

このストーリーは、2者の視点で「話」が構成されていて、

一人は、エルという少女。

舞台は、おそらくヨーロッパのどこかで、幼少期~青春期と、劣悪な家庭環境に育ち、そのせいか、人一倍「愛」に飢え、シンデレラ的な夢見がちな部分もあります。

ただ、容姿は端麗のため、様々な男性から甘い誘惑を受け、騙され、悲劇的な状態に落ちいっていきます、、、

で、もう一人が、「オヴェス」という少年です。

エルとは同年代で、同じ町の出身になります。

幼少期、劣悪な家庭環境に育っていたエルの、唯一の心の支えがこの「オヴェス」という少年で、「オヴェス」もまた、エルに惹かれ、恋に落ちていきます。

ただ、それは「オヴェス」の一方的な片思いに終わってしまい、関係も幼少期の一時的なモノで、成長したエルは他の男性と恋に落ち、手の届かないところへ行ってしまいます。

それでも、何十年とエルの事を一途に思い続ける役が、この「オヴェス」になります。

(冒頭の文章も、オヴェスの「問いかけ」になります)

ストーリーは、この2者の視点で進んでいき、アルバムの構成曲も、両者どちらかの視点で描かれています。

acid black cherry 4thアルバム「L(エル)」、特に印象に残った「5曲」を挙げてみた!!

コンセプトストーリーブックを読み、「L(エル)」の全貌を理解したうえで、アルバムを一通り聴いてみて、僕が個人的に、「特にコレ、印象深かった!!」という曲を、一つ一つ挙げていきたいと思います。

1、「Round & Round」

「Round & Round」は、アルバムのオープニング曲になります。

この曲は、オヴェス目線で、エルへの思いを綴った歌詞になっていて、1番パートと2番パートで、二人の関係性が変化しています。

1番パートでは、二人がいつも共にいた幼少期時代になっていますが、2番パートでは、二人が大人になって離れ離れになった時期で、それでもエルの事を思うオヴェスの心境が描かれています。

冒頭のフレーズは、実はこの曲で作詞されている文章になります。

「もう君のいないこの世界で、これから僕は何をして生きていけばいいの?」
「今、君はどんな世界を、どんな空を見てるんだい?」
「これから君はどんな未来を、どんな明日を知るの?」

曲調的には、どこか悲しさを含んでいて、

オヴェスの中で、エルの事がずっと忘れられず、エルがいない世界なのに、幼少期の頃から全く変わらず、彼女に対して思いを抱き続けている事にたいしての、どうしようもない苦悩や悲しみが表現されているような、、、

そんな曲調になってるのではと、妄想しました。

2、「liar or LIAR ?」

liar = 「嘘、嘘つき」 といった意味になります。

この曲は、エル目線の歌で、恋に落ちた男性から裏切られ・嘘をつかれ、騙されて、そして愛を信じられなくなって、、、だけど、それでも「愛」を求めてしまう自分、、、

そういった心境を綴った歌詞になっていて、「yasu節」というか、yasu の真骨頂といった曲になっています。

「求めてたのは嘘じゃなくて、愛だった」
「分かってるの。。。でも今すぐ、大人になれない」
「愛って、おもってた以上に痛い、、、それなのに、なぜ求めてしまうの?」

3、「君がいない、あの日から…」

僕の中では、アルバム1涙腺に響く曲が、この曲です。

バラード調の曲で、yasu の歌うフレーズの一つ一つが、心に突き刺さってきます。

歌詞は、オヴェス目線になっていて、エルから「さよなら」を言われ離れ離れになった「あの日」、あの時から、ずっとずっと心の何処かでエルを探していて、求めている歌になっています。

「寂しくはないかい? 一人震えていやしないかい・・・?」
「君の好きな季節が、また過ぎていく、、、」

4、「Greed Greed Greed」

Greed = 「貪欲、強欲」といった意味になります。

脈拍を高めるような、煽るような曲調、裏で起こっている危ないナニカ・・・”アンダーグラウンド” を表現するような曲調になっていて、

歌詞は、エル目線の歌で、無差別な愛・快楽・金、、、あらゆるモノを強欲に求め、自分を満たしたかった。

そんな一方で、、、でも本当の自分は・・・心の奥底では・・・本当に求めていたのは・・・たった1つの「愛」を求めているだけなのに、、、といったエルの心を描いてる歌になってます。

「欲しかった、、、けど私が求めていたものは1つ、たった1つ」
「ありきたりで良かったんだけどな、”愛” って在りそうでない、、」

5、「INCUBUS」

INCUBUS = 夢魔(むま)といった意味で、睡眠中の女性を襲い犯し、精液を注ぎ込む悪魔といった意味だそうです。

(初めて聞きました)

このタイトル通り、

見えない何か、悪魔・闇(病み)が自分に迫ってくるような危機感を表現している曲調で、シリアスなメロディとなっています。

歌詞は、エル目線の歌になっていて、

彼女が、夜の世界で一緒だった親友の罪(殺人)を自ら被り、何十年も刑務所の中で過ごし、そして、社会に戻った時・・・

自分には何も残っていなかった、、、頼る人も帰る場所も、かつての美貌も、なにもかも・・・

そんな生きていくだけで精一杯の孤独の世界で、毎晩のように、夢の中で過去の辛い出来事を思い出す。

寝ても覚めても「悪夢」を観ているような現実・・・自分は、ただ1つの愛がほしかっただけなのに・・・そんな絶望しか無い心境を綴った歌詞になっています。

「あの頃、私 夢を観てたの。この世界はバラ色って」
「気づけば、私 夢の迷い子。悪夢はまだ終わらない」
「色のない夢、殺される声。1つずつ奪われていく、、、」
「音のない世界、感じない愛。悪夢はまだ終わらない」

「L(エル)」のラストを飾る、「Loves」と「& you」には、共感できなかった話

僕が、コンセプトストーリーを連想させながら、アルバムを一通り聴いていった時、アルバムの最後を飾る「Loves」と「& you」

この二つの曲は、オヴェス目線の歌となっていて、

「Loves」は、エルとオヴェスが、この世を生きる最後の瞬間に、最後の最後に再会を果たし、

離れ離れになって、何十年かが経っても、死ぬ瞬間にもエルへの愛情、出会えて幸せだった事を歌った曲で、

「& you」は、まぁ一言で言うと「ハッピーエンド」な曲となっています。

僕が、この2曲を聴いた時に、とてもじゃないけど、そんなハッピーエンド的な気分には成れなかったという話です。

フィクションであるのは分かってるけど、「こんな綺麗事、あるわけない!!」

僕は、男性だからか、物語を見ていくうちに、自分を投影させるのは「オヴェス」でした。

だからなのか、「オヴェス」の一途でケガレが無く、純真無垢な気持ちを知っていたからなのか・・・

例え、結果が全て悲劇的だったとしても、「エル」に対して、同情や共感の感情は、すごく薄いものでした。

エルが、様々な男性と恋愛し、愛を育んでいる時も、快楽に溺れている時も、騙されている時も、夜の世界で輝いている時も・・・

いつでも、「オヴェス」は一途に思い続けていた、、、

エルの心のなかに、「オヴェス」という存在は1ミリもないのに、、、

この残酷な「矛盾」がずっとずっと、生涯に渡って付きまとっていたのに、、、なのに、、、

だから、僕は、この2曲のハッピーエンド的な結末には、ちょっと共感はできなかった。

最後に ~yasuは、やっぱり天才~ 

今回、ABC「L」を聴いてみて、ストーリーブックを観てみて、やっぱり「yasu」という人は、天才だなと思わされました。

一人の少女に焦点を当てて、その生涯を、あれ程の壮大な物語として表現した事も、

その物語を、アルバムを構成する1曲1曲に繋ぎ合わせて、リスナーが聴いた時に、具体的なイメージを連想できるようにし、感情の起伏を極限まで高めるようにした事も、、、

クリエイターとしても、プロデューサーとしても、ミュージシャンとしても、、、すごい人だなと、改めて感じました。

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