どーもー、先日10年ぶりに「白夜行」というドラマを見て、号泣してしまった「ゆとり」でーす。
※白夜行とは、2006年1月から3月の期間に放送されたテレビドラマで、東野圭吾の小説(同タイトル)を原作とした作品になります。
主演は、山田孝之と綾瀬はるかで、主題歌は柴咲コウが担当。
製作スタッフは、2004年に放送されたドラマ:「世界の中心で、愛をさけぶ」とほぼ同じメンバーで構成されている。
脚本:森下佳子
演出:石井康晴、平川雄一朗
このドラマは、放送後、第48回:「ザ・テレビジョン・ドラマアカデミー賞」で、最優秀作品賞、主演男優賞(山田孝之)、助演女優賞(綾瀬はるか)、助演男優賞(武田鉄矢)を受賞し、4冠を達成します。
さらに、2011年には映画化も。
ストーリーは、幼少期に、初恋の少女を助けるために自分の父親を殺した少年と、その少年を守るために自分の母親の命を奪った少女。この2人の残酷で壮絶な半生が描かれた物語です。
個人的に、最も「罪と罰」が描かれた作品で、かつ最も残酷でありながら純粋な「愛」が描かれている作品だと思っています。
(最も重く・最も泣けるドラマを一つ選べと言われれば、僕はこの作品を選びます。)
10年前に見た時の記憶としては、とにかくこの作品の第1話(二人が幼少期の話)を見た時の印象が強烈に残っていて、当時も号泣したのを覚えています。(僕がちょうど高校生の頃かな)
あれから、10年。
2話以降の話はほとんど覚えて無かったのですが、またこーして大人になって、「白夜行」を見てみて、第1話で同じように号泣し、2話以降についても頻繁に心を揺さぶられ、涙が溢れるシーンがありました。
というわけで、今回の記事では、「白夜行」を見た感想や感動シーン。各登場人物の名言について。
また、この作品の小説や映画版についても、そのあらすじやドラマ版との違いについてまとめていきます。
以下、目次。
- 白夜行ドラマ版のあらすじや感想まとめ
- 登場人物の名言(桐原亮司や唐沢雪穂・笹垣潤三)や、主題歌の「柴咲コウ:影」について
- 白夜行の原作小説(東野圭吾の著書)のあらすじや、ドラマ版との違いまとめ
- 白夜行の映画版のあらすじや感想について
- 最後に・・・雪穂と亮司が読んでいた本:「風と共に去りぬ」と、雪穂のその後が描かれた続編:「幻夜」について
白夜行ドラマ版のあらすじや感想まとめ(ネタバレ注意) ~最も感動した1話の子役時代や、最終回の結末について
まずは、ドラマ版のあらすじ概要や感想について順にまとめていきます。
【あらすじ概要】
1991年、まだ11歳だった亮司と雪穂。
二人ともそれぞれに劣悪な家庭問題を抱えており、亮司は父親の経営する質屋の息子だが、母親と質屋の社員の浮気を都度見せつけられており、
雪穂は母親と二人の貧しい家庭で、母親の命令で”売り”をヤラされていた。
そんな2人は、家に帰りたくないがために毎日遅くまで図書館に通うのだが、そこで出会うことになる。似たような境遇にあった二人は、徐々にお互いに惹かれあっていくが、
ある夜、雪穂の売りをヤラされていた現場に遭遇した亮司は、そこで信じられない光景を目にする。それは、雪穂の売りの相手が、自分の父親だったのだ。
パニックに陥った亮司は、咄嗟に自分の父親を、持っていたハサミで刺し殺してしまう。
その後、2人は自分たちの罪を隠しながら生きていくことを決め、雪穂は、亮司の罪を自分の母親に被せる為にガスを用いた自殺に見せかけ、自分もろとも無理心中をする。
だが、雪穂だけは生き残ってしまい、二人は自分達のため、罪を隠していくために、今後一切関わらない(会わない)ように生きていくことを決める。
こうして、雪穂は殺人犯の子として、亮司は被害者の子として別々の道を生きていくわけだが、その後も二人の周囲には不可解な凶悪犯罪が次々と起きていき、一人の刑事によって、徐々に二人は追い込まれていくことになる。
罪に罪を重ね、嘘を嘘で塗り固めていく二人の悲劇と絆が、壮大なスケールで描かれた物語が「白夜行」という作品です。
続いて、僕が「白夜行」を見た感想や考察を以下にまとめてみました。
-
「音楽・演出がとにかく素晴らしい」
この曲が流れるシーンでは、だいたい泣いていた気がしますね。(1話に1回程、重要なシーンで流れる)
ドラマや映画では、視聴者が感動したり・感情移入したり・心を揺さぶられたりするのに、そのシーンの音楽や演出が非常に重要になってきます。
そういう意味で、感動的な音楽だけでなく、衝撃さ・壮絶さであったり、恐怖や不吉さ、なにか裏があるかのような演出・音楽が、「白夜行」では非常にクオリティが高いなと感じました。
(演出メンバーは、「世界の中心で愛を叫ぶ」のメンバーと一緒なんですね。)
-
「笹垣潤三(刑事)役の武田鉄矢の演技が素晴らしい」
亮司と雪穂の事を幼少期(最初の事件)の頃から、ずっと追い続けている刑事で、二人の次に重要な役どころを演じているのが武田鉄矢です。
関西弁で非常に洞察力が優れており、二人の嘘に対して唯一疑念を抱いていた人物で、
相手を疑っている時の表情や、不吉さを表す笑顔、「ありがとー」・「またなー」という印象的なセリフを発します(特に第1話)
また、
「1つ嘘ついたらな、どんどん嘘つかなあかんようになんねん。そんな人生に未来なんてあらへん。お天道さんの下歩けんへんようになる。身を滅ぼすだけや」といったような、多くの名セリフを残し、また、よく意味深なことわざのようなモノを口にする。
※笹垣刑事がよく口にする意味深な言葉は、仏教の言葉で「歎異抄(たんにしょう)」という仏教書の一節である。(次の章で、その言葉や意味をまとめています)
また、僕が好きなのが、笹垣潤三は終盤になるにつれて、二人をどんどん追い込んでいくんですが、それと同時に二人に感情移入していき、重い責任を感じるようになっていくんですね。
2人に関連する多くの事件の真実に辿りついた時、その真実を噛みしめて静かに涙をこらえるシーンがあるんですが、最初の事件の時に、二人を捕まえて二人を楽にしてあげられなかった事。罪に罪を重ねていく人生を歩ませてしまった事を強く後悔していて、その時の演技やシーンは圧巻でした。
さらに、
「白夜行」の最終回を見た人なら覚えているでしょう。(僕が、第1話の次に感動し号泣してしまったシーンです。)
(亮司が歩道橋から飛び降りる前の、笹垣に諭されているシーンです)
「栗原典子(くりはら のりこ)に1子誕生。お前には子供がおる。その子供にちゃんと13階段のぼる背中みせぇ
お前、自分と同じ子を作る気か?親を信じられん子作る気か?
間違えだらけやったけど、お前が精一杯やったんは俺が知っとる。
一人の人間幸せにするために、お前は精一杯やった。お前の子に俺がちゃんと言うたる。お前に流れとる血は、ほんまはそういう血や。俺がちゃんと子供に言うたる。
すまんかった。。。あの日、お前を捕まえてやれんで、ほんまにすまんかったのう。」
この時の、武田鉄矢の鬼気迫るような圧巻な演技は、ずっと脳裏に焼き付いています。
-
「白夜行で最も感動した、1話のラストシーン」
(雪穂からの手紙を見つけて、駅のホームで再開するシーン)
雪穂:「人からみれば、もう亮君は被害者の息子で、私は加害者の娘。私たちが仲良しなのはどう考えてもおかしいし、それがバレたらきっと全てが無駄になってしまう。
今までも、これからも会ったこともない、名前も知らない他人になろう。
二人のためにそれが一番いいと思うんだ。だけどアレ(凶器)はもらっていくね。アレは亮君だから。
ドブのような毎日の中で白い花を咲かせてくれた亮君だから。イイ事なんか何もないって思ってた私に、笑うことを教えてくれた亮君だから。なによりもあの時、私を助けてくれた亮君だから。
亮くんありがとう。私、あのとき本当に嬉しかった。生まれてきてよかった、もう十分だって、そう思ったんだ。」
・
・
・亮司:「雪ちゃんだって、ドブに花咲かせてくれたじゃない。俺、雪ちゃんと会って笑えるようになったよ。良い事あるんだって、そう思った。雪ちゃんだって、俺の太陽なんだよ」
10年前も今も、一番感動したのがこのシーンでした。
お互いのためにお互いが自分の親を殺し、そんな秘密を共有した世界でたった一人の理解者なのに、他人で居続けることでしか生きていけない残酷な現実。
そして、そんな残酷な現実を11歳という若さで背負わなければいけない亮司と雪穂
このシーンは、子供だからこそ倍増される残酷さや純粋さが滲みでていて、それが視聴者の感動へと繋がっていくシーンだと思います。
-
「白夜行の印象的なシーン」
それは、第3話。教会の中に亮司と雪穂二人がいるシーンです。
雪穂:「私もけっこうな嘘つきだけどさー、この人(キリスト)も大概だよ。神の前では皆平等とか、信ずるものは救われるとか、求めよ・さらば得られんとか、嘘ばっか。嘘ばっか付いてんじゃないわよ!」
「頼んだ?私が生まれたいって言った?生かしてくれって頼んだ?なんであの時終わりにしてくれなかったのよ!」
雪穂が、キリストの像を破壊する。
(雪穂は過去に、同教会のキリスト像の前で、同じ施設の子供にいじめられて、施設のおじさんにヤラれそうになった事がある。)
個人的に同感できる好きなシーンですね。
-
「最終回の結末について」
亮司が歩道橋から飛び降りて死んだ後、雪穂はこれまでの事件について取り調べを受けるが、そこでも嘘に嘘を重ねて罪にはとわれずに出所する。
そして、亮司が死んでから約1年後、
2006年11月11日(最初の事件の時効の日)
雪穂は、経営していたブティックの店を全部潰してしまい、最後は借金まみれの状態に。。(おそらく、亮司の死によって生きる希望を失っていた?)
そして、ラストシーンでは、ベンチに座ってる女性と、広場で遊んでいる子供がいて、子供が女性に近づき手を繋ぐのだが、
これって、雪穂と栗原典子の子供(亮司の子供)なんですかね?
ハッキリと人物が描かれてないのですが、おそらくそんな気がします。
-
「二人の関係性を羨ましく思ってしまった。」
お互いにとって、この世界にたった一人だけ秘密を共有している理解者となっていて、お互いの存在だけが「生きる希望」になっている。
その絆はものすごく残酷で黒いモノだけど、その分ものすごく純粋で強固なもので、ソレがあるからこそ、どんな事でもできるし孤独でも生きていける存在。
「白夜行」を見ている途中、僕はそんな二人をとても羨ましく思ってしまいました。
「生きる意味」や「生きる希望」なんて、今の世の中明確に持っている人の方が、少ないんじゃないでしょうか?
けど、二人にはソレがしっかりとあって、孤独だけれど孤独では無い。。。ドラマの言い方をすれば、「お互いが、お互いの太陽」になっているんです。
(だからこそ、雪穂が大学生時代に篠塚に惚れてしまうクダリは、個人的にもちょっと失望してしまった部分はあるが)
ちなみに、「白夜行」を書いた東野圭吾は、二人の存在について以下のように語っています。
「雪穂は、僕の中では憧れとして書いていて、僕にとっての理想の女性なんですね。
亮司は、僕にとっての理想の生き方なんですよ。おかしい話なんですけど、どういう事かと言うと、亮司は見返りを求めないでただひたすら献身することが喜びだし、それしか生きる方向性がないんですよね。
他に何も思いつかないんですよ。ただあの二人がなぜ強いかと言うと、他にもう生きる道がなくて、迷いがないからなんです。
迷いのない人間は強いんです。」
以上です。
白夜行ドラマ版に登場する人物の名言(桐原亮司や唐沢雪穂・笹垣潤三)や、主題歌の「柴咲コウ:影」について
白夜行は、亮司や雪穂を中心として、考えさせられる名セリフや名シーンが非常に多いドラマです。
というわけで、ここでは、各登場人物の名言や、主題歌情報についてまとめていきます。
【桐原亮司の名言】
-
俺たちの上に太陽などなかった。いつも夜だけど暗くはなかった。太陽に変わるものがあったから。
あなたは俺の太陽だった。紛(まが)い物の太陽だった。だけど明日へと上(のぼ)ることをやめない。俺のたった一つの希望だった。
- その人(雪穂)が本当に幸せになってしまったら、俺を必要とする人はこの世にいなくなってしまう。俺の名前を呼ぶ人が誰もいなくなってしまう。
- なんで俺、こんな1人なんだよ。
- 白夜ってさ、奪われた夜なのかな?与えられた昼なのかな?夜を昼だと見せかける太陽は悪意なのか?善意なのか?
- そして隠せば隠すほど。葬ろうとした真実は、夢の中で膨れ上がった(11歳にして父親を殺害してしまった後のセリフ)
- どうして俺たち生まれてきたんでしょうか?何のために生まれてきたんでしょうか?(気づいたら、親父と同じことをしていて(性犯罪)、飛び降りようとする。)
- 証拠を捨てない犯人なんて愚かしいにも程がある。だけど、俺はまだ人間でいたかった。侵した罪の跡形に痛みを感じていたかったんだ。せめて、1つずつ(証拠を捨てていく)。。。良心を捨てていくような気がした
- 信じるから裏切られるんだよ。いつ誰が裏切るかなんて想像しても意味ないんだよ
-
図書館の掲示板に書いたメッセージ
どうか子供たちに。
本当の罰は、心と記憶にくだされると伝えてください。
飲み込んだ罪は魂を蝕み、やがて、その身体さえ命さえ食い尽くす。
どうか、その前に。どうか、親たちに伝えてください。
幽霊からの遺言。
【唐沢(西本)雪穂の名言】
- 夜を昼だと思って生きることができた。明るくはないけれど歩いて行くには充分だった。あなたは私の太陽だった。偽物の太陽だった。だけどその身を焦がし道を照らす、私のたった一つの光りだった。
- 「やったのは、わたしだよ。」
-
あのさぁ、わたしの幸せって何だと思ってるわけ?何の為にわたしが別人になろうとしてきたと思ってんのよ?何の為に毎日毎日、わざわざ急行電車に乗ってると思ってんのよ?
各駅だと降りちゃうからでしょ。アナタが立ってるから、降りたくなっちゃうからでしょ。
何言われても何されても、ニコニコ笑って、、何の為に7年も他人のフリしてきたと思ってんのよ?もう一回、アンタと歩くために決まってるじゃない。
-
だって篠塚さんがその子を選んだ理由って、ただ幸せに育って、だから性格が良いってだけなんだよ。
そんな環境で育ってたらアタシだってそうなってるよ。あんな親の子に生まれたの、私のせいじゃ無いじゃない。
ホント幸せなんだよ、その子。思ったこと思うように言えて、しかもそれが凄く幸せな事だと思っても無いんだよ。気付かないほど幸せなんだよ。
こんなの、どう考えたって不公平じゃない。ねぇ、リョウだってそう思う事あるでしょ?
-
一緒なんだよリョウ。リョウの幸せが、私にとって免罪符なんだよ。もういいじゃない。ここまできて格好つけなくたって。
リョウがやった事は、アタシの為にしてさ。アタシがやった事はリョウの為にしてさ。そうやって、やった事を正当化しまくって生きていこうよ。
-
ちゃんと見なさいよ、私がされてきたことを。亮が知ってるのなんて序の口なんだからね。
私、間違ってるんだよね?不公平だって思ってるのは間違ってるんだよね?人の幸せを壊してやろうと思ってることは間違ってるんだよね?
これ笑えるようにならないといけないんだよね?みんなそうやって頑張ってるから私もそうやって頑張んなきゃいけないんだよね?
亮は私にそう言ってるんだよね?言われたくなかった。亮だけには言われたくなかった
続いて、笹垣潤三(刑事)がよく口にする「ことわざ」のようなモノ。
あれは、歎異抄(たんにしょう)と呼ばれる、鎌倉時代後期に書かれた仏教書の一節である。
笹垣が口にした、この歎異抄の一筋は、計:8つほどあって、それぞれの言葉と意味については、以下のwikiにてまとめられています。
→ ウィキペディア:白夜行(「作中で登場した歎異抄の一節」の章)
・
・
・
次に、
白夜行ドラマの主題歌である「柴咲コウ:影」について。
作曲:渡辺未来
編曲:前嶋康明
歌詞から曲調から、個人的にも非常に好きな曲であり、
この曲の歌詞を聴けば分かりますが、二人の関係に非常にマッチした内容になっており、本編が終わったあとに余韻に浸らせてくれる曲となっています。
作詞は柴咲コウさんが担当しているので、おそらくこのドラマの脚本か、または原作小説を読んでから書き始めたんでしょうね。
白夜行の原作小説(東野圭吾の著書)のあらすじや、ドラマ版との違いまとめ
2002/5/25に発売された、東野圭吾作の原作小説:白夜行。
ページ数: 864ページ(かなりボリュームがある)
2005年11月の時点では、55万部程度だったが、ドラマが公開されて以降、売れ行きが再び上がって、2006年1月には100万部を突破。
さらに、2010年12月時点で200万部を超える大ベストセラーとなる。
基本的なストーリーは、ドラマと一緒だが(お互いに自分の親を殺害したのを皮切りに、その後も罪に罪を重ねていく)
描かれ方で根本的な部分が違っていたり、ストーリー的にも細かい部分ではいくつもの違いがある。
というわけで、「白夜行」の小説とドラマの違いについて、以下にまとめてみた。
-
「小説は完全にミステリー推理作品で、二人の関係性や心理描写が一切描かれていない。」
これが、最も大きな違いです。
ドラマでは、最初から亮司と雪穂の関係性や親殺しの犯人であることが描かれていますよね。
小説では、これらが一番最後に描かれており、ミステリー推理小説のオチになっているんです。
となると、当然描かれ方も変わってきて、小説は二人の関係性が一切描かれていません(二人が接触している場面は一切ない)
もちろん、ドラマでは見せ所であった、二人の悩みや葛藤、心理描写や感情表現も一切無しです。
(二人の繋がりや心理状態は、読者が想像・推理していくしかない。)
なので、「白夜行」の小説とドラマは、全くの別作品と言ったほうが良いでしょう。
僕自身、「白夜行」がここまで記憶に残り傑作だと言っているのは、二人の悩みや葛藤、関係性(罪と罰と、純愛)が描かれてこそです。
なので、個人的には小説については満足のいくものではありませんでした。
ちなみに、
ドラマ版のプロデューサー:石丸彰彦は雑誌のインタビューで、原作から大幅に手を加えたことについて「亮司と雪穂をモンスターにしたくなかった」と語っていて、
原作者の東野圭吾は、「原作には無い部分がメインになっていて、戸惑ったが別物として受け止めようと思う」と言っていたそうです。
-
「亮司と雪穂のキャラが全然違う。」
これも、小説とドラマの大きな違いですね。
ドラマ版では、二人とも犯罪を重ねてはいくけど、どこか悲劇の主人公&ヒロイン的な描かれ方をしていますよね。(悩みや葛藤も描かれているから)
ですが、
小説版では、とにかく不気味な印象が強く、何を考えているか分からないミステリアスなキャラであり、目的のために淡々と犯罪を犯していく人間らしさを全く感じないような描かれ方をしています。
-
「時代設定が違う」
-
笹垣(刑事)ですが、ドラマ版では退職したあと探偵となって捜査を続けますが、小説では刑事のまま
代わりに、探偵の今枝という男(小説のみ登場)がいて、亮司に殺されてしまいます。
- 亮司の母親は、ドラマ版では手首を切って自殺してしまいますが、原作では普通にスナック経営をして生きている。
- 雪穂は、ドラマ版では高宮と結婚・離婚するが、小説ではその後、篠塚の従兄(小説のみ登場)とも結婚している。
- 笹垣刑事の部下の古賀は、ドラマ版では松浦に殺されてしまいますが、原作では殺されない。
ドラマ版で最初の殺人事件が起きたのは、1991年ですが、
小説版では、1973年と、かなり古い時代設定となっています。
(ちなみに現在は、刑事訴訟法が改正され、日本では殺人罪を含む重犯罪の時効は撤廃された)
以上、白夜行のドラマと小説の違いまとめでした。
白夜行(東野圭吾)の映画版のあらすじや感想、ドラマ版との違いについて ~キャスト情報も
- 公開:2011年1月29日
- 監督:深川栄洋
- 脚本:深川栄洋、入江信吾、山本あかり
- キャスト:堀北真希(雪穂役)、高良健吾(亮司役)、船越英一郎(刑事役)
- 上映時間:149分
- 主題歌:珠妃「夜想曲」
※キャストはもちろん、スタッフもTV版とは全く違うメンバーである。
この映画版:「白夜行」は、ドラマとは違い、小説に対してかなり忠実に描かれているので、全体的なストーリー展開やキャラ設定も、小説に近いものとなっています。
僕自身も実際に映画版を見ましたが、ドラマ版とは別作品といっていいでしょう。
というわけで、白夜行のドラマ版と映画版の違いについて、以下にまとめていきます。
-
「映画版も小説と同様に、ミステリー推理作品である。」
ドラマとは、そもそも基本的な作品の方向性から違っているんですね。
映画も小説同様に、物語の終盤にすべてが明らかになるよう描かれていて、(最初の事件の犯人(親殺し)や、二人の関係性)
ドラマのように、二人が一緒にいるシーンは一切ありません。(子供の頃の回想シーンだけ)
当然、ドラマでは重要な見所である、二人の悩みや葛藤、関係性(罪と罰と、純愛)は全く描かれてなく、
推理小説のように、物語が進んでいくにつれて、事件の真相が暴かれていく様が描かれているのです。
また、
亮司と雪穂のキャラクターについても、ドラマのような人間味や感情的な部分は一切無く、とにかく不気味でミステリアスなキャラで、なにか裏があるかのように描かれています。
-
「演出や音楽が、ドラマ版とは比較にならないほど悪い。。」
これは完全に主観的な意見ですが、演出や音楽についても、ここまで違うのか!!って、ビックリするほどでした。
ドラマ版では、ちゃんと見せ所については、音楽や演出が凝られていて、それ以外のところでも、そのシーンにマッチした演出がちゃんと設定されており、映像自体にメリハリ(起伏)があり、視聴者が飽きないように考えられているのですが、
映画版では、そもそも音楽や演出自体がかなり少なく、ただ淡々と物語(映像)が進んでいっている感じを受けました。
さらに、
ドラマ版では、各登場人物に個性的なキャラクター像が設定されているのですが、(主人公の二人以外にも、刑事や亮司の母親、松浦など)(演技も素晴らしかった)
対して、映画版ではそういった特徴が非常に薄いなと感じました。
-
「号泣するような、心揺さぶるシーンが無い」
上述している通り、白夜行のドラマ版では、1話に1回ぐらいのペースで泣けるシーンがあるのですが、
映画版では、1回も涙を流す事はありませんでした。(あくまで僕の場合ですが)
映画の方は、完全にミステリー推理作品になっているので仕方ないんですがね。
-
「時代設定が違う。」
これは、ドラマと小説の違いにも挙げましたが、
ドラマ版で最初の殺人事件が起きたのは1991年ですが、映画では1980年に事件が発生しています。
なので、映画の方は、街並みや建物・人物像(髪型や服装等)が、古い時代の特色がでています。
- 白夜行ドラマ版では、亮司の母親はアルコール中毒で自傷癖があって最終的には自殺してしまいますが、映画ではこれらの設定はありません。
- 雪穂の里親は、テレビ版では亮司に殺されてしまうが、映画では殺されない
-
「雪穂の結婚相手」
ドラマ版白夜行では、雪穂は高宮と結婚するが、
映画では、篠塚と付き合って結婚している。(親友から奪って)
また、篠塚には妹がいて、雪穂のことを良く思っていない(財産目当てで、兄と結婚したと疑っている)
- ドラマ版では、亮司は死亡届けを出して世間的には死んでる事になっているが、映画ではそのような設定は無い
- 白夜行映画版では、雪穂の生みの親である西本文代に恋人(寺崎)がいる(ドラマにはいない)
- ドラマ版で登場する図書館の先生は、映画版では登場しない。代わりに児童館の先生(男性)が登場する(二人は児童館で出会う)
- 亮司と付き合っていた薬剤師の女は、映画版では青酸カリを飲んで死ぬ(亮司に仕組まれ)(ドラマ版では、死なずに亮司の子供を産んでいる)
- 映画版では、雪穂は亮司の父親だけじゃなく、複数の男性に性的被害にあっている
以上、白夜行のドラマと映画の違いまとめでした。
最後に・・・雪穂と亮司が読んでいた本:「風と共に去りぬ」と、雪穂のその後が描かれた続編:「幻夜(東野圭吾作)」について
ドラマ版の本編中、二人はこの「風と共に去りぬ」という本を読んでいて、雪穂はスカーレットに、亮司はレットバトラー船長のようになりたいと憧れていて、
よくこの本が登場していたので、個人的に気になった色々と調べてみました。
1936年6月30日:出版
作者:マーガレット・ミッチェル(アメリカ)
ストーリー概要 : アメリカの南北戦争当時、絶頂にあったアメリカ南部の白人貴族たちの生活の移り変わりが描かれている。(主人公が白人貴族女性のスカーレットである)
この作品は、当時、ピューリッツァー賞を受賞し大ベストセラーへ。
1939年には映画化もされ、世界的なヒット作となりアカデミー賞の9部門を受賞する。
というわけで、僕はアカデミー賞を受賞した「風と共に去りぬ」の映画を観てみることにした。(あらすじ詳細や、感想などについては以下の記事にてまとめています)
→ 風と共に去りぬのあらすじ・ラストや名言・感想 ~小説と映画の違いや、続編作品:「スカーレット」と「レットバトラー」
・
・
・
続いて、話は変わりますが、「白夜行」には、その続きが描かれている作品があるという情報がネット上に多数ありました。
その作品名は、『幻夜』
白夜行と同じ作者である東野圭吾が、2004年に刊行した姉妹作品であり、その後が描かれていると。
そして、2010年に同作のドラマ化もされている。
というわけで、「幻夜」についてもドラマ版を見てみたので、その感想やあらすじ詳細を以下の記事にまとめました。
→ 幻夜(東野圭吾)のあらすじ・最終回の結末や感想(ネタバレ) ~白夜行の続編説(雪穂と新海美冬)や、ドラマと原作小説の違い
(良かったら、見てみてください。)
ではまた、じゃーねー。
(亮司と雪穂のような、お互いが生きる希望になるような相手が僕もほしい。。)